こんにちは。今回のIDE2026 KAMAKURA を企画した桑畑健と申します。現在、鎌倉に住んでおります。
どんな人生でも、さいごに「生まれてきて良かった」と言って命を終えられる世の中をつくりたい。
人のため、街のために頑張った人たちが、報われる社会にしたい。
このページの数字は、私が調べたものです。指標に偏りがあったり、実現の難しいものもあるかもしれません。それでも、このページが、皆さんと鎌倉の街づくりを考える試金石になれば嬉しいです。

介護は、ある日突然始まります。
昨日まで電話で話していた親が、救急車で運ばれる。退院の日が決まり、親は「家に帰りたい」と言う。
そのとき、誰に相談すればよいのか。訪問診療は、どこに頼むのか。仕事は、続けられるのか。その日が来る前に、知っておく機会は多くありません。
いまは遠い話に思えても、いつか必ず、自分か、自分の大切な人の話になります。


鎌倉市の17万人を、100人の村に縮めてみます。
100人なら、全員の顔が分かります。朝に挨拶する人、同級生の親、角の店の人。あなたも、この村の一人です。その100人を、数えてみます。
子どもが11人。働く世代が58人。65歳以上が31人で、そのうち18人は75歳を越え、6人は85歳を越えています。31人のうち6人は一人で暮らし、7人は要支援・要介護の認定を受けています。年齢を問わず、4人が障害者手帳を持っています。外国から来た人が1人。病院や施設で暮らしている人が2人。
家は44軒。一人暮らしが14軒(うち6軒は65歳以上)。夫婦だけが11軒(うち7軒は高齢のご夫婦)。夫婦と子どもが13軒。親ひとりと子どもが4軒。三世代が1軒。18歳未満の子を母ひとりで育てている家は、3つの村に1軒。父ひとりは、20の村に1軒。大人の女性は47人、そのうち11人は結婚していません。生活保護を受けている人は1人。登録された犬は6頭。
この村で医療の仕事をしているのは3人。介護の仕事は2人。市役所の職員は1人です。100人の暮らしを、この6人が支えています。
データソース:国勢調査(2020年)/国勢調査 抽出詳細集計・職業中分類(2020年・鎌倉市で働く人、およその数。介護は介護サービス職業従事者+社会福祉専門職業従事者)/鎌倉市 人事行政の運営状況(2024年4月1日時点)/第9期鎌倉市高齢者保健福祉計画(2023年度)/鎌倉の統計 令和7年版(生活保護・2024年度)/鎌倉市 事業評価「犬の登録等事業」(2021年度・推定)
この村は、支える人に恵まれています。この村を支える医師は、人口10万人あたり416人。全国平均257人の1.6倍です。在宅医療を担う診療所は22か所。そのうち11か所が、診療所どうしが組む機能強化型です。NPO法人は140。人口10万人あたり81で、隣の藤沢市(42)や横須賀市(40)のおよそ2倍です。家で亡くなる人の割合は22.5%。全国の16.4%を上回ります。
データソース:日本医師会 地域医療情報システム JMAP(2020年)/厚生労働省 在宅医療にかかる地域別データ集(2024年)/神奈川県 特定非営利活動促進法の施行状況(2026年8月31日現在)

この村は、海と山に囲まれています。想定される津波は、最も高いところで14.5m。最も早いところでは8分で届きます。三方を山に囲まれ、道は狭く、行き止まりも多い。昼間の村には、100人のほかに、毎日平均25人の観光客がいます。
データソース:鎌倉市 津波ハザードマップ(神奈川県 津波浸水想定 平成27年)/鎌倉市 令和6年 入込観光客数(2024年)/鎌倉市津波避難計画 地域別実施計画(平成27年1月時点の推計・3エリア計 約2万5,000人)
100人のうち14人の家が、津波の届く場所にあります。あなたの家か、友だちの家です。
関東大震災と同じ型の地震が起きたとき、神奈川県は鎌倉市の被害をこう想定しています。
100人の村に直すと、亡くなるのは1人。名前を知っている誰かです。
村には、登録された犬が6頭います。猫は、数える仕組みがありません。崩れた家に残される犬や猫が何頭になるのか、想定の数字はまだありません。
データソース:鎌倉市津波避難計画 地域別実施計画(平成27年1月時点の推計)/神奈川県 地震被害想定調査報告書(令和7年3月)/鎌倉市 事業評価「犬の登録等事業」(2021年度・推定)
村で10人が亡くなるとき、どこで迎えたかったのか、願いどおりだったのか。それを数えた人は、まだいません。分かっているのは、家で迎えたいと願っている人が4人、実際に家で迎えられる人が2人、ということだけです。
家での療養を支える訪問看護ステーションは、人口10万人あたり11.5か所。全国平均の14.8か所を下回ります。
一人で亡くなり、8日以上たって見つかった人は、全国で年間21,856人(推計)。鎌倉市の数は、まだ測られていません。介護を理由に仕事を辞めた人は、全国で年間10.6万人。
村を支えているのは、医療の3人と介護の2人。この5人のうち毎年1人が入れ替わります。
データソース:厚生労働省 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査(2022年度)/厚生労働省 在宅医療にかかる地域別データ集(2024年)/内閣府 孤独・孤立対策推進本部 資料(2024年)/総務省 就業構造基本調査(2022年)/日本看護協会(2025年・2024年調査)/介護労働安定センター(令和6年度)
人も、つながりも、すでにある。その力で、望む場所でのさいごをもっと多くの人に届けるには。

2040年、この村は93人になっています。団塊ジュニア世代が、すべて65歳以上になる年です。
14年のあいだに、18人が亡くなり、7人が生まれます。引っ越してくる人が出ていく人より4人多いので、村は100人から93人へ。
93人のうち、子どもは9人、働く世代は49人、65歳以上は35人です。

データソース:国立社会保障・人口問題研究所 令和5年推計(2040年・161,425人)/鎌倉の統計 令和7年版(2023年の出生810人・死亡2,195人を14年分に)
2040年、50歳のあなたと80歳の親の、ある一日。
親から電話。「転んで、ひとりで起き上がれない」。
ケアマネジャーに相談する。「ヘルパーさんの手が、すぐには空かなくて」。
上司に、今月もまた早退を伝える。このまま、仕事を続けられるだろうか。
親が言う。「最期は、この家で迎えたい」。
鎌倉市は、自らの計画にこう書いています。
「介護を受ける高齢者の増加が見込まれる一方で、介護職の高齢化や生産年齢人口が急減することが見込まれる中、介護人材の不足が問題となっています」
「核家族化等による地域コミュニティの希薄化や高齢者への虐待、認知症高齢者の対応、家族の介護に伴う介護離職や(中略)ヤングケアラーなど様々な問題も起きています」
(第9期鎌倉市高齢者保健福祉計画・令和6〜8年度)
いまある連携を、さらに強くしていかなければ、支える人一人ひとりにかかる重さは、増えていきます。
これはまだ起きていません。変えられる未来です。

隣の横須賀=市役所と医師会と訪問看護と街の人たちが一緒になって、人口20万人以上の市区で在宅死亡率を全国一にした(2016年発表・2015年の数字)。
鎌倉宗教者会議=仏教・神道・キリスト教の人たちが、3.11 の犠牲者のために10年、共に祈り続けた。
杉原千畝=訓令に背いて約6,000人にビザを書き、亡くなる前年(1985年)にイスラエルから「諸国民の中の正義の人」として讃えられ、1986年7月31日に鎌倉で生涯を終え、鎌倉霊園に眠る。2017年にイスラエルの財務相、2025年8月に国会議長らが墓前に献花。
今年=鎌倉市が共催し、神奈川県と藤沢市が後援し、湘南鎌倉総合病院の院長が壇に立ち、湘南アイパークが会場。行政と病院と企業の集積が同じ机に着いた。

世界に誇れる「さいごを描ける街、鎌倉」を2040年までに実現する。
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鎌倉には、支える人が揃っています。医師も、看護師も、介護職も、NPO も、宗教者も、行政も。すでに、つながって動いています。
そのつながりを、もっと太く。
11月22日・23日、湘南アイパークで、一緒に考えませんか。